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化学物質
フッ化ストロンチウム

フッ化ストロンチウム

更新日：2023/3/19

フッ化ストロンチウム（Strontium fluoride）は，化学式 SrF₂ で表される無機化合物です。

名称

物質名称一覧

命名法

Nomenclature

名称

Name

代表的名称
Typical name: フッ化ストロンチウム; Strontium fluoride

組成命名法
Compositional nomenclature: フッ化ストロンチウム; Strontium fluoride; 二フッ化ストロンチウム; Strontium difluoride

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称

Formula name

化学式

Formula

代表的化学式
Typical formula: SrF₂

組成式
Compositional formula: SrF₂

構造式
Structural formula

電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure

電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure

物質情報

物質情報一覧

項目

Item

値

Value

名称
Name: フッ化ストロンチウム; Strontium fluoride

化学式
Formula: SrF₂

外観
Appearance: 無色の固体; Colorless solid

臭気
Odor: 無臭; Odorless

モル質量
Molar mass: 125.62 g/mol

密度
Density: 4.24 g/cm³^[1]
固体

融点
Melting point: 1477 °C^[1]

沸点
Boiling point: 2460 °C^[1]

構成要素

構成イオン

イオン Ion	名称 Name	電荷数 Charge number	個数 Number
Sr²⁺	ストロンチウムイオン	2	1
F⁻	フッ化物イオン	-1	2

構成原子

原子 Atom	名称 Name	酸化数 Oxidation state	個数 Number
Sr	ストロンチウム	+2	1
F	フッ素	−1	2

原子の比率

原子 Atom	原子量 Atomic weight	個数 Number	原子比率 Atomic ratio	重量比率 Weight ratio
Sr	87.62	1	33.33%	69.75%
F	18.998	2	66.67%	30.25%

熱力学的性質

相転移特性

項目

Item

値

Value

融解熱
Enthalpy of fusion: 28.5 kJ · mol⁻¹^[1]
at 1477°C; 29.7 kJ · mol⁻¹^[2]
at 1477°C

蒸発熱
Enthalpy of vaporization: 320 kJ · mol⁻¹^[1]
at 2460°C

蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C: 451.0 kJ · mol⁻¹^[1]

その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition: 0.04 kJ · mol⁻¹^[1][1]
at 1148°C

標準熱力学特性

状態 State	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
結晶性固体	−1216.3^[3]	−1164.8^[3]	82.13^[3]	70.00^[3]
気体	−764.4^[3]	−775.3^[3]	291.06^[3]	52.97^[3]

溶解度

溶解性

反応 Reactive

混和 Miscible

易溶 Very soluble

可溶 Soluble: HCl (aq)^[1]塩酸 + 🔥

微溶 Slightly soluble

難溶 Very slightly soluble: H₂O水

不溶 Insoluble

水への溶解度 (g/100 g)^[4]

0.26°C	17.4°C	27.4°C
0.01135	0.01173	0.01193

水への溶解度 (g/100 g)^[1]

0°C	20°C	30°C
0.0113	0.0117	0.0119

溶解度曲線 (g/100 g)

製法

弱塩基の塩と強塩基の反応

弱塩基の塩と強塩基が反応すると，フッ化ストロンチウムが生成する場合があります。

フッ化アルミニウムと水酸化ストロンチウムの反応: 2AlF₃フッ化アルミニウム + 3Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム
⟶
3SrF₂フッ化ストロンチウム + 2Al(OH)₃水酸化アルミニウム

フッ化鉄(II)と水酸化ストロンチウムの反応: FeF₂フッ化鉄(II) + Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム
⟶
SrF₂フッ化ストロンチウム + Fe(OH)₂水酸化鉄(II)

フッ化鉄(III)と水酸化ストロンチウムの反応: 2FeF₃フッ化鉄(III) + 3Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム
⟶
3SrF₂フッ化ストロンチウム + 2Fe(OH)₃水酸化鉄(III)

フッ化亜鉛と水酸化ストロンチウムの反応: ZnF₂フッ化亜鉛 + Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム
⟶
SrF₂フッ化ストロンチウム + Zn(OH)₂水酸化亜鉛

フッ化スズ(IV)と水酸化ストロンチウムの反応: SnF₄フッ化スズ(IV) + 2Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム
⟶
2SrF₂フッ化ストロンチウム + Sn(OH)₄水酸化スズ(IV)

沈殿反応

水溶液中でストロンチウムイオンとフッ化物イオンが反応すると，フッ化ストロンチウムの沈殿が生成します。

水酸化ストロンチウムとフッ化水素の反応: Sr(OH)₂水酸化ストロンチウム + 2HFフッ化水素
💧
⟶
SrF₂↓フッ化ストロンチウム + 2H₂O水

塩化ストロンチウムとフッ化ナトリウムの反応 ◆ Δ_rG −65.0 kJ/mol K 2.44 × 10¹¹ pK −11.39: SrCl₂塩化ストロンチウム + 2NaFフッ化ナトリウム
💧
⟶
SrF₂↓フッ化ストロンチウム + 2NaCl塩化ナトリウム

臭化ストロンチウムとフッ化ナトリウムの反応 ◆ Δ_rG −78.7 kJ/mol K 6.13 × 10¹³ pK −13.79: SrBr₂臭化ストロンチウム + 2NaFフッ化ナトリウム
💧
⟶
SrF₂↓フッ化ストロンチウム + 2NaBr臭化ナトリウム

ヨウ化ストロンチウムとフッ化ナトリウムの反応 ◆ Δ_rG −47.8 kJ/mol K 2.37 × 10⁸ pK −8.37: SrI₂ヨウ化ストロンチウム + 2NaFフッ化ナトリウム
💧
⟶
SrF₂↓フッ化ストロンチウム + 2NaIヨウ化ナトリウム

塩化ストロンチウムとフッ化カリウムの反応 ◆ Δ_rG −126.5 kJ/mol K 1.45 × 10²² pK −22.16: SrCl₂塩化ストロンチウム + 2KFフッ化カリウム
💧
⟶
SrF₂↓フッ化ストロンチウム + 2KCl塩化カリウム

活性金属と酸の反応

ストロンチウムとフッ化水素が反応すると，フッ化ストロンチウムと水素が生成します。

ストロンチウムとフッ化水素の反応 ◆ Δ_rG −618.4 kJ/mol K 2.18 × 10¹⁰⁸ pK −108.34: Srストロンチウム + 2HFフッ化水素
⟶
SrF₂フッ化ストロンチウム + H₂水素

化学反応

電離反応

フッ化ストロンチウムが電離すると，ストロンチウムイオンとフッ化物イオンが生成します。

フッ化ストロンチウムの電離 ◆ Δ_rG 47.7 kJ/mol K 0.44 × 10⁻⁸ pK 8.36: SrF₂フッ化ストロンチウム
⟶
Sr²⁺ストロンチウムイオン + 2F⁻フッ化物イオン

強酸との反応

フッ化ストロンチウムと強酸が反応すると，強酸の塩とフッ化水素が生成します。

フッ化ストロンチウムと塩化水素の反応 ◆ Δ_rG 27.9 kJ/mol K 0.13 × 10⁻⁴ pK 4.89: SrF₂フッ化ストロンチウム + 2HCl塩化水素
🔥
⟶
SrCl₂塩化ストロンチウム + 2HFフッ化水素

フッ化ストロンチウムと臭化水素の反応 ◆ Δ_rG 28.2 kJ/mol K 0.11 × 10⁻⁴ pK 4.94: SrF₂フッ化ストロンチウム + 2HBr臭化水素
🔥
⟶
SrBr₂臭化ストロンチウム + 2HFフッ化水素

フッ化ストロンチウムとヨウ化水素の反応 ◆ Δ_rG 58.9 kJ/mol K 0.48 × 10⁻¹⁰ pK 10.32: SrF₂フッ化ストロンチウム + 2HIヨウ化水素
🔥
⟶
SrI₂ヨウ化ストロンチウム + 2HFフッ化水素

フッ化ストロンチウムと硫酸の反応 ◆ Δ_rG −32.5 kJ/mol K 4.94 × 10⁵ pK −5.69: SrF₂フッ化ストロンチウム + H₂SO₄硫酸
⟶
SrSO₄硫酸ストロンチウム + 2HF↑フッ化水素

フッ化ストロンチウムと硝酸の反応 ◆ Δ_rG −0.2 kJ/mol K 1.08 × 10⁰ pK −0.04: SrF₂フッ化ストロンチウム + 2HNO₃硝酸
⟶
Sr(NO₃)₂硝酸ストロンチウム + 2HF↑フッ化水素

不揮発性の酸との反応

フッ化ストロンチウムと不揮発性の酸が反応すると，不揮発性の酸の塩とフッ化水素が生成します。

フッ化ストロンチウムとリン酸の反応: 3SrF₂フッ化ストロンチウム + 2H₃PO₄リン酸
🔥
⟶
Sr₃(PO₄)₂リン酸ストロンチウム + 6HF↑フッ化水素

フッ化ストロンチウムと硫酸の反応: SrF₂フッ化ストロンチウム + 2H₂SO₄硫酸
⟶
Sr(HSO₄)₂硫酸水素ストロンチウム + 2HF↑フッ化水素

フッ化ストロンチウムとクロム酸の反応: SrF₂フッ化ストロンチウム + H₂CrO₄クロム酸
🔥
⟶
SrCrO₄クロム酸ストロンチウム + 2HF↑フッ化水素

還元性化学種との反応

ナトリウムとフッ化ストロンチウムが反応すると，フッ化ナトリウムとストロンチウムが生成します。

ナトリウムとフッ化ストロンチウムの反応 ◆ Δ_rG 77.8 kJ/mol K 0.23 × 10⁻¹³ pK 13.63: 2Naナトリウム + SrF₂フッ化ストロンチウム
🔥
⟶
2NaFフッ化ナトリウム + Srストロンチウム

溶融塩電解

フッ化ストロンチウムの溶融塩を電気分解すると，ストロンチウムとフッ素が生成します。

フッ化ストロンチウムの溶融塩電解 ◆ Δ_rG 1164.8 kJ/mol K 0.86 × 10⁻²⁰⁴ pK 204.06: SrF₂フッ化ストロンチウム
🔥⚡
⟶
Srストロンチウム + F₂↑フッ素

参考文献

参考文献一覧

1
James G. Speight (2017)
Lange's Handbook of Chemistry, 17th edition
https://www.accessengineeringlibrary.com/content/book/9781259586095
McGraw Hill Education
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 4.24 g/cm³ - p.66
- ^ 融点, 1477 °C - p.66
- ^ 沸点, 2460 °C - p.66
- ^ 融解熱, 28.5 kJ · mol⁻¹ - p.311
- ^ 蒸発熱, 320 kJ · mol⁻¹ - p.311
- ^ 蒸発熱 (25°C), 451.0 kJ · mol⁻¹ - p.311
- ^ その他転移エンタルピー, 0.04 kJ · mol⁻¹ - p.311
- ^ その他転移エンタルピー, 0.04 kJ · mol⁻¹ - p.311
- ^ 溶解性, 塩酸に可溶 - p.66
- ^ 水への溶解度 (g/100 g), 表を参照 - p.344
2
John R. Rumble Jr, David R. Lide, Thomas J. Bruno (2019)
CRC Handbook of Chemistry and Physics 100th Edition
https://www.routledge.com/CRC-Handbook-of-Chemistry-and-Physics/book-series/CRCHANCHEPHY
CRC Press
- Amazon
引用リスト
- ^ 融解熱, 29.7 kJ · mol⁻¹ - p.6-160
3
Janiel J. Reed (1989)
The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
https://doi.org/10.18434/M32124
National Institute of Standards and Technology (NIST)
引用リスト
4
Atherton Seidell (1919)
Solubilities of Inorganic and Organic Compounds: A Compilation of Quantitative Solubility Data From the Periodical Literature
D. Van Nostrand Company
- Amazon
引用リスト
- ^ 水への溶解度 (g/100 g), 表を参照 - p.681

Δ_rG	−1164.8 kJ/mol
K	1.16 × 10²⁰⁴
pK	−204.06

Δ_rG	−293.6 kJ/mol
K	2.73 × 10⁵¹
pK	−51.44

Δ_rG	−65.0 kJ/mol
K	2.44 × 10¹¹
pK	−11.39

Δ_rG	−78.7 kJ/mol
K	6.13 × 10¹³
pK	−13.79

フッ化ストロンチウム

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化学式と構造

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物質情報

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構成要素

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原子の比率

熱力学的性質

相転移特性

標準熱力学特性

溶解度

溶解性

水への溶解度 (g/100 g)[4]

水への溶解度 (g/100 g)[1]

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製法

金属と非金属の反応

酸と塩基の反応

塩基性酸化物と酸の反応

弱塩基の塩と強塩基の反応

沈殿反応

活性金属と酸の反応

化学反応

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強酸との反応

不揮発性の酸との反応

還元性化学種との反応

溶融塩電解

参考文献

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関連物質

アルカリ土類金属のフッ化物

ストロンチウムのハロゲン化物

酸

塩基と塩基性酸化物

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物質の分類

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物質の性質

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水への溶解度 (g/100 g)^[4]

水への溶解度 (g/100 g)^[1]