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化学反応
AsH3 + 5Fe2O3 → As + 3Fe3O4 + Fe(OH)3

AsH₃ + 5Fe₂O₃ → As + 3Fe₃O₄ + Fe(OH)₃

更新日：2022/6/13

アルシンと酸化鉄(III)の反応: AsH₃アルシン + 5Fe₂O₃酸化鉄(III)
⟶
Asヒ素 + 3Fe₃O₄酸化鉄(II,III) + Fe(OH)₃水酸化鉄(III)

アルシンと酸化鉄(III)が反応すると，ヒ素と酸化鉄(II,III)，水酸化鉄(III)が生成します（その他の反応はこちら）。この反応は酸化還元反応で，

還元性化学種と被還元性化学種の反応

に分類されます。

目次

化学反応情報

化学反応式

アルシンと酸化鉄(III)の反応: AsH₃アルシン + 5Fe₂O₃酸化鉄(III)
⟶
Asヒ素 + 3Fe₃O₄酸化鉄(II,III) + Fe(OH)₃水酸化鉄(III)

一般反応式

還元性化学種と被還元性化学種の反応: 還元性化学種還元剤 + 被還元性化学種酸化剤
⟶
生成物酸化生成物 + 生成物還元生成物

各原子の酸化数

アルシンと酸化鉄(III)の反応

反応物

化学式	名称	係数	分類	一般反応式における分類
AsH₃	アルシン	1	還元剤	還元性
Fe₂O₃	酸化鉄(III)	5	酸化剤	被還元性

生成物

化学式	名称	係数	分類	一般反応式における分類
As	ヒ素	1	酸化生成物	–
Fe₃O₄	酸化鉄(II,III)	3	還元生成物	–
Fe(OH)₃	水酸化鉄(III)	1	–	–

熱力学的変化

標準状態における変化 (1)

アルシンと酸化鉄(III)の反応 ◆ Δ_rG −100.6 kJ/mol K 4.21 × 10¹⁷ pK −17.62: AsH₃気体 + 5Fe₂O₃結晶性固体
⟶
As結晶性固体α, 灰色ヒ素 (金属ヒ素) + 3Fe₃O₄結晶性固体 + Fe(OH)₃結晶性固体沈殿物

	標準反応エンタルピー Δ_rH° kJ · mol⁻¹	標準反応ギブスエネルギー Δ_rG° kJ · mol⁻¹	標準反応エントロピー Δ_rS° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準反応定圧熱容量 Δ_rC_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
反応式 1 mol あたり	−123.6	−100.6	−78.8	–
アルシン 1 mol あたり	−123.6	−100.6	−78.8	–
酸化鉄(III) 1 mol あたり	−24.72	−20.12	−15.8	–
ヒ素 1 mol あたり	−123.6	−100.6	−78.8	–
酸化鉄(II,III) 1 mol あたり	−41.20	−33.53	−26.3	–
水酸化鉄(III) 1 mol あたり	−123.6	−100.6	−78.8	–

標準状態における変化 (2)

アルシンと酸化鉄(III)の反応: AsH₃気体 + 5Fe₂O₃結晶性固体
⟶
As結晶性固体γ, 黄色ヒ素 (立方晶) + 3Fe₃O₄結晶性固体 + Fe(OH)₃結晶性固体沈殿物

	標準反応エンタルピー Δ_rH° kJ · mol⁻¹	標準反応ギブスエネルギー Δ_rG° kJ · mol⁻¹	標準反応エントロピー Δ_rS° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準反応定圧熱容量 Δ_rC_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
反応式 1 mol あたり	−109.0	–	–	–
アルシン 1 mol あたり	−109.0	–	–	–
酸化鉄(III) 1 mol あたり	−21.80	–	–	–
ヒ素 1 mol あたり	−109.0	–	–	–
酸化鉄(II,III) 1 mol あたり	−36.33	–	–	–
水酸化鉄(III) 1 mol あたり	−109.0	–	–	–

標準状態における変化 (3)

アルシンと酸化鉄(III)の反応: AsH₃気体 + 5Fe₂O₃結晶性固体
⟶
As非晶質固体β + 3Fe₃O₄結晶性固体 + Fe(OH)₃結晶性固体沈殿物

	標準反応エンタルピー Δ_rH° kJ · mol⁻¹	標準反応ギブスエネルギー Δ_rG° kJ · mol⁻¹	標準反応エントロピー Δ_rS° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準反応定圧熱容量 Δ_rC_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
反応式 1 mol あたり	−119.4	–	–	–
アルシン 1 mol あたり	−119.4	–	–	–
酸化鉄(III) 1 mol あたり	−23.88	–	–	–
ヒ素 1 mol あたり	−119.4	–	–	–
酸化鉄(II,III) 1 mol あたり	−39.80	–	–	–
水酸化鉄(III) 1 mol あたり	−119.4	–	–	–

水溶液における変化

アルシンと酸化鉄(III)の反応 ◆ Δ_rG −63.4 kJ/mol K 1.28 × 10¹¹ pK −11.11: AsH₃気体 + 5Fe₂O₃結晶性固体
⟶
As結晶性固体α, 灰色ヒ素 (金属ヒ素) + 3Fe₃O₄結晶性固体 + Fe(OH)₃水溶液 (非解離状態)

	標準反応エンタルピー Δ_rH° kJ · mol⁻¹	標準反応ギブスエネルギー Δ_rG° kJ · mol⁻¹	標準反応エントロピー Δ_rS° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準反応定圧熱容量 Δ_rC_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
反応式 1 mol あたり	–	−63.4	–	–
アルシン 1 mol あたり	–	−63.4	–	–
酸化鉄(III) 1 mol あたり	–	−12.7	–	–
ヒ素 1 mol あたり	–	−63.4	–	–
酸化鉄(II,III) 1 mol あたり	–	−21.1	–	–
水酸化鉄(III) 1 mol あたり	–	−63.4	–	–

反応物の熱力学データ

化学式	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
AsH₃ (g)	66.44^[1]	68.93^[1]	222.78^[1]	38.07^[1]
Fe₂O₃ (cr)	-824.2^[1]	-742.2^[1]	87.40^[1]	103.85^[1]

* (g):気体, (cr):結晶性固体

生成物の熱力学データ

化学式	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
As (cr) α, 灰色ヒ素 (金属ヒ素)	0^[1]	0^[1]	35.1^[1]	24.64^[1]
As (cr) γ, 黄色ヒ素 (立方晶)	14.6^[1]	–	–	–
As (am) β	4.2^[1]	–	–	–
As (g)	302.5^[1]	261.0^[1]	174.21^[1]	20.786^[1]
Fe₃O₄ (cr)	-1118.4^[1]	-1015.4^[1]	146.4^[1]	143.43^[1]
Fe(OH)₃ (cr) 沈殿物	-823.0^[1]	-696.5^[1]	106.7^[1]	–
Fe(OH)₃ (ao)	–	-659.3^[1]	–	–

* (cr):結晶性固体, (am):非晶質固体, (g):気体, (ao):水溶液 (非解離状態)

参考文献

参考文献一覧

1
Janiel J. Reed (1989)
The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
https://doi.org/10.18434/M32124
National Institute of Standards and Technology (NIST)
引用リスト