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化学物質
エタノール

エタノール

更新日：2023/3/19

エタノール（Ethanol）は，化学式 C₂H₅OH で表される有機化合物です。

名称

物質名称一覧

命名法

Nomenclature

名称

Name

代表的名称
Typical name: エタノール; Ethanol

置換命名法
Substitutive nomenclature: エタノール; Ethanol
★優先 IUPAC 名

官能種類命名法
Functional class nomenclature: エチルアルコール; Ethyl alcohol

別名
Other names: 酒精; Grain alcohol; アルコール; Alcohol; EtOH

化学式と構造

化学式一覧

化学式名称

Formula name

化学式

Formula

代表的化学式
Typical formula: C₂H₅OH

分子式
Molecular formula: C₂H₅OH

実験式
Empirical formula: C₂H₆O

示性式
Condensed formula: CH₃CH₂OH

構造式
Structural formula

構造式 (C–H結合なし)
Structural formula with no C–H bond

骨格構造式
Skeletal formula

骨格構造式 (末端炭素を表示)
Skeletal formula with terminal carbon

電子式 (ルイス構造式)
Lewis structure

電子式 (ルイス構造式, 色付き)
Colored Lewis structure

物質情報

物質情報一覧

項目

Item

値

Value

名称
Name: エタノール; Ethanol

化学式
Formula: C₂H₅OH

外観
Appearance: 無色の液体; Colorless liquid

臭気
Odor: 快臭^[1]; Pleasant odor; アルコール臭^[2]; Alcoholic odor; 特異臭, ワイン臭^[3]; Characteristic, vinous odor

モル質量
Molar mass: 46.069 g/mol

密度
Density: 0.7894 g/cm³^[4]
液体, 20°C; 0.7893 g/cm³^[5]
液体, 20°C

融点
Melting point: −114 °C^[4]; −114.14 °C^[5]

沸点
Boiling point: 78.3 °C^[4]; 78.24 °C^[5]

引火点
Flash point: 13 °C^[4]

屈折率
Refractive index: 1.3611^[4][5]
20°C

構成要素

構成原子

原子 Atom	名称 Name	酸化数 Oxidation state	個数 Number
C	炭素	−3	1
C	炭素	−1	1
H	水素	+1	6
O	酸素	−2	1

原子の比率

原子 Atom	原子量 Atomic weight	個数 Number	原子比率 Atomic ratio	重量比率 Weight ratio
C	12.011	2	22.22%	52.14%
H	1.008	6	66.67%	13.13%
O	15.999	1	11.11%	34.73%

熱力学的性質

相転移特性

項目

Item

値

Value

融解熱
Enthalpy of fusion: 5.02 kJ · mol⁻¹^[4]
at −114°C; 4.931 kJ · mol⁻¹^[5]
at -114.14°C

蒸発熱
Enthalpy of vaporization: 38.6 kJ · mol⁻¹^[4]
at 78.3°C; 38.56 kJ · mol⁻¹^[5]
at 78.24°C

蒸発熱 (25°C)
Enthalpy of vaporization at 25°C: 42.3 kJ · mol⁻¹^[4]; 42.32 kJ · mol⁻¹^[5]

その他転移エンタルピー
Enthalpy of other transition: –

標準熱力学特性

状態 State	標準生成エンタルピー Δ_fH° kJ · mol⁻¹	標準生成ギブスエネルギー Δ_fG° kJ · mol⁻¹	標準モルエントロピー S° J · K⁻¹ · mol⁻¹	標準モル定圧熱容量 C_p° J · K⁻¹ · mol⁻¹
液体	−277.69^[6]	−174.78^[6]	160.7^[6]	111.46^[6]
気体	−235.10^[6]	−168.49^[6]	282.70^[6]	65.44^[6]
水溶液 (非解離状態)	−288.3^[6]	−181.64^[6]	148.5^[6]	–

溶解度

溶解性

反応 Reactive

混和 Miscible: H₂O^[4][5]水
CHCl₃^[4][5]トリクロロメタン
C₂H₅OC₂H₅^[4][5]ジエチルエーテル
CH₃COCH₃^[5]アセトン

易溶 Very soluble

可溶 Soluble: C₆H₆^[5]ベンゼン

微溶 Slightly soluble

難溶 Very slightly soluble

不溶 Insoluble

危険有害性

GHSラベル^[7]

項目

Item

値

Value

危険有害性絵表示
Hazard pictograms: GHS02: 炎; GHS08: 健康有害性; GHS07: 感嘆符

注意喚起語
Signal word: 危険

危険有害性情報
Hazard statements: H225: 高引火性の液体または蒸気; H320: 眼刺激性; H350: 発がんのおそれ; H360: 生殖能または胎児への悪影響のおそれ; H335: 呼吸器刺激のおそれ; H336: 眠気またはめまいのおそれ; H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害; H372: 長期, または反復ばく露による肝臓への傷害; H373: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害のおそれ; H373: 長期, または反復ばく露による中枢神経系への傷害のおそれ

物理的危険性^[7]

分類	区分	表示	危険有害性情報
爆発物	分類対象外
引火性気体	分類対象外
エアゾール	分類対象外
酸化性気体	分類対象外
高圧ガス	分類対象外
引火性液体	区分2	危険	H225: 高引火性の液体または蒸気
引火性固体	分類対象外
自己反応性化学品	分類対象外
自然発火性液体	区分外
自然発火性固体	分類対象外
自己発熱性化学品	分類不可 (データ不足)
水反応引火性化学品	分類対象外
酸化性液体	分類対象外
酸化性固体	分類対象外
有機過酸化物	分類対象外
金属腐食性物質	分類不可 (データ不足)
鈍性化爆発物	データなし

健康有害性^[7]

分類	区分	表示	危険有害性情報
急性経口毒性	区分外
急性経皮毒性	区分外
急性吸入毒性 (気体)	分類対象外
急性吸入毒性 (蒸気)	区分外
急性吸入毒性 (粉塵・ミスト)	分類不可 (データ不足)
皮膚腐食性/刺激性	区分外
重篤な眼損傷性/眼刺激性	区分2B		H320: 眼刺激性
呼吸器感作性	分類不可 (データ不足)
皮膚感作性	分類不可 (データ不足)
生殖細胞変異原性	分類不可 (データ不足)
発がん性	区分1A	危険	H350: 発がんのおそれ
生殖毒性	区分1A	危険	H360: 生殖能または胎児への悪影響のおそれ
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)	区分3 (気道刺激, 麻酔作用)	警告	H335: 呼吸器刺激のおそれ H336: 眠気またはめまいのおそれ
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)	区分1 (肝臓)	危険	H372: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害 H372: 長期, または反復ばく露による肝臓への傷害
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)	区分2 (中枢神経系)	警告	H373: 長期, または反復ばく露による臓器への傷害のおそれ H373: 長期, または反復ばく露による中枢神経系への傷害のおそれ
誤えん有害性	分類不可 (データ不足)

環境有害性^[7]

分類	区分	表示	危険有害性情報
水生環境有害性 (短期)	区分外
水生環境有害性 (長期)	区分外
オゾン層への有害性	分類不可 (データ不足)

製法

アルデヒドと水素の反応

アセトアルデヒドと水素が反応すると，エタノールが生成します。

アセトアルデヒドと水素の反応 ◆ Δ_rG −46.66 kJ/mol K 1.49 × 10⁸ pK −8.17: CH₃CHOアセトアルデヒド + H₂水素
Ni|Pd|Pt
⟶

C₂H₅OHエタノール

ハロゲン化アルキルと水酸化物イオンの反応

クロロエタンと水酸化物イオンが反応すると，エタノールと塩化物イオンが生成します。

クロロエタンと水酸化物イオンの反応 ◆ Δ_rG −89.45 kJ/mol K 4.69 × 10¹⁵ pK −15.67: C₂H₅Clクロロエタン + OH⁻水酸化物イオン
⟶
C₂H₅OHエタノール + Cl⁻塩化物イオン

カルボン酸とテトラヒドリドアルミン酸塩，水素イオンの反応

酢酸とテトラヒドリドアルミン酸リチウム，水素イオンが反応すると，エタノールとリチウムイオン，アルミニウムイオン，水が生成します。

酢酸とテトラヒドリドアルミン酸リチウム，水素イオンの反応 ◆ Δ_rG −778 kJ/mol K 1.99 × 10¹³⁶ pK −136.30: 2CH₃COOH酢酸 + Li[AlH₄]テトラヒドリドアルミン酸リチウム + 4H⁺水素イオン
① Li[AlH₄]
⟶
② H⁺
2C₂H₅OHエタノール + Li⁺リチウムイオン + Al³⁺アルミニウムイオン + 2H₂O水

アルデヒドとテトラヒドリドアルミン酸塩，水素イオンの反応

アセトアルデヒドとテトラヒドリドアルミン酸リチウム，水素イオンが反応すると，エタノールとリチウムイオン，アルミニウムイオンが生成します。

アセトアルデヒドとテトラヒドリドアルミン酸リチウム，水素イオンの反応 ◆ Δ_rG −920 kJ/mol K 1.50 × 10¹⁶¹ pK −161.18: 4CH₃CHOアセトアルデヒド + Li[AlH₄]テトラヒドリドアルミン酸リチウム + 4H⁺水素イオン
⟶
4C₂H₅OHエタノール + Li⁺リチウムイオン + Al³⁺アルミニウムイオン

化学反応

ハロゲン化物イオンと水素イオンとの反応

エタノールと塩化物イオン，水素イオンが反応すると，クロロエタンと水が生成します。

エタノールと塩化物イオン，水素イオンの反応 ◆ Δ_rG 9.57 kJ/mol K 0.21 × 10⁻¹ pK 1.68: C₂H₅OHエタノール + Cl⁻塩化物イオン + H⁺水素イオン
⟶
C₂H₅Clクロロエタン + H₂O水

エタノールの脱水反応

エタノールが反応すると，エチレンと水が生成します。

エタノールの脱水反応 ◆ Δ_rG 5.80 kJ/mol K 0.96 × 10⁻¹ pK 1.02: C₂H₅OHエタノール
H₂SO₄, 🔥
⟶

C₂H₄↑エチレン + H₂O水

参考文献

参考文献一覧

1
Maryadele J O'Neil, Patricia E. Heckelman, Peter H. Dobbelaar, Cristin J. Roman, Catherine M. Kenny, Linda S. Karaffa (2013)
The Merck Index, 15th Edition
https://pubs.rsc.org/en/content/ebook/978-1-84973-670-1
Royal Society of Chemistry
- Amazon
引用リスト
- ^ 臭気, 快臭 - p.696
2
Fisher Scientific
Fisher Scientific: Lab Equipment and Lab Supplies
https://www.fishersci.com/us/en/home.html
Thermo Fisher Scientific
引用リスト
- ^ 臭気, アルコール臭 [参照ページ]
3
Office of Response and Restoration
CAMEO Chemicals
https://cameochemicals.noaa.gov/
National Oceanic and Atmospheric Administration
引用リスト
- ^ 臭気, 特異臭, ワイン臭 [参照ページ]
4
James G. Speight (2017)
Lange's Handbook of Chemistry, 17th edition
https://www.accessengineeringlibrary.com/content/book/9781259586095
McGraw Hill Education
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 0.7894 g/cm³ - p.596
- ^ 融点, −114 °C - p.596
- ^ 沸点, 78.3 °C - p.596
- ^ 引火点, 13°C - p.596
- ^ 屈折率, 1.3611 (20°C) - p.596
- ^ 融解熱, 5.02 kJ · mol⁻¹ - p.1004
- ^ 蒸発熱, 38.6 kJ · mol⁻¹ - p.1004
- ^ 蒸発熱 (25°C), 42.3 kJ · mol⁻¹ - p.1004
- ^ 溶解性, 水と混和 - p.596
- ^ 溶解性, トリクロロメタンと混和 - p.596
- ^ 溶解性, ジエチルエーテルと混和 - p.596
5
John R. Rumble Jr, David R. Lide, Thomas J. Bruno (2019)
CRC Handbook of Chemistry and Physics 100th Edition
https://www.routledge.com/CRC-Handbook-of-Chemistry-and-Physics/book-series/CRCHANCHEPHY
CRC Press
- Amazon
引用リスト
- ^ 密度, 0.7893 g/cm³ - p.3-26
- ^ 融点, −114.14 °C - p.3-26
- ^ 沸点, 78.24 °C - p.3-26
- ^ 屈折率, 1.3611 (20°C) - p.3-26
- ^ 融解熱, 4.931 kJ · mol⁻¹ - p.6-156
- ^ 蒸発熱, 38.56 kJ · mol⁻¹ - p.6-143
- ^ 蒸発熱 (25°C), 42.32 kJ · mol⁻¹ - p.6-143
- ^ 溶解性, 水と混和 - p.3-26
- ^ 溶解性, ジエチルエーテルと混和 - p.3-26
- ^ 溶解性, アセトンと混和 - p.3-26
- ^ 溶解性, トリクロロメタンと混和 - p.3-26
- ^ 溶解性, ベンゼンに可溶 - p.3-26
6
Janiel J. Reed (1989)
The NBS Tables of Chemical Thermodynamic Properties: Selected Values for Inorganic and C1 and C2 Organic Substances in SI Units
https://doi.org/10.18434/M32124
National Institute of Standards and Technology (NIST)
引用リスト
7
化学物質管理センター
GHS分類結果
https://www.nite.go.jp/chem/ghs/all_fy.html
独立行政法人製品評価技術基盤機構
引用リスト

Δ_rG	−46.66 kJ/mol
K	1.49 × 10⁸
pK	−8.17

Δ_rG	−89.45 kJ/mol
K	4.69 × 10¹⁵
pK	−15.67

Δ_rG	−778 kJ/mol
K	1.99 × 10¹³⁶
pK	−136.30

Δ_rG	−920 kJ/mol
K	1.50 × 10¹⁶¹
pK	−161.18

エタノール

名称

物質名称一覧

化学式と構造

化学式一覧

物質情報

物質情報一覧

構成要素

構成原子

原子の比率

熱力学的性質

相転移特性

標準熱力学特性

溶解度

溶解性

危険有害性

GHSラベル[7]

物理的危険性[7]

健康有害性[7]

環境有害性[7]

製法

アルデヒドと水素の反応

ハロゲン化アルキルと水酸化物イオンの反応

カルボン酸とテトラヒドリドアルミン酸塩，水素イオンの反応

アルデヒドとテトラヒドリドアルミン酸塩，水素イオンの反応

化学反応

ハロゲン化物イオンと水素イオンとの反応

エタノールの脱水反応

参考文献

参考文献一覧

関連物質

脂肪族アルコール

第一級アルコール

関連カテゴリ

GHSラベル^[7]

物理的危険性^[7]

健康有害性^[7]

環境有害性^[7]